16歳にして見事なスピンやジャンプを見せてくれたユリア・リプニツカヤも成長し、色気のある大人の女性に成長しつつある。身長も伸びて、スラリとしたスタイルが美しい。
あどけなさが残る顔も色っぽくなり、ムーディな音楽に合わせたスケートを見せるようになった。
ロシア・エカテリンブルグ出身で、愛称はユーリャという。2014年のソチオリンピックの団体戦では見事金メダルに輝き、スピードのあるキャンドルスピンを見せて観客の度肝を抜いた。
そんなリプニツカヤは父親が徴兵に行ったまま戻らず、ずっと母親と2人で育った。この母親は娘が生まれてすぐに股関節のストレッチをしたから、真っ直ぐに足を180度上げてスピン出来るようになったようだ。
そんなに裕福ではなかったが、母親は何かと娘の将来のためにと色々なことをやらせた。乗馬や絵画、料理、手芸などだ。ロシアは雄大な自然がある国なだけに、その自然の写真を見て楽しんだ。
革命にとても興味があるらしく、愛読書はキューバ革命に関する本を読んでいる。面白いことに、飼っている愛犬の名前にキューバの革命家の『チェ・ゲバラ』という名前を付けている。
世界一の選手になると期待されていたが、期待がかかればかかるほど記者に追い掛け回され、盗聴器をロッカールームに仕掛けられたり、親や親戚にまで必要以上の取材が殺到した為に、精神的に追い込まれていった。
スケート靴が足に合わず上手く滑れないこともあり、大会を欠席するなど、何かとアクシデントに見舞われたリプニツカヤは、この2年、思うようなスケートが滑れなかった。
しかし、精神を整え、強く鍛えたことでまた、見事なジャンプやスピンを持ってカンバックを果たした。全体的にスローで難易度を落とした技を取り組んだプログラムではあるが、転倒もせず、確実に音楽に合わせた完璧な演技を見せるようになった。
上手く演技が出来なかった時には「どう生きるべきか理解しようとするのをやめた」と語っていたし、「一度もフィギュアに興味を持ったこともない」と語っていた氷上の妖精も大人になり、「自分の才能を磨き、与えられたチャンスに人生をかけてみよう」と思うようになったようだ。
好きな選手は「浅田真央」と言っていた彼女は、これからますます個性的な演技で革命を起こしてくれるかもしれない。